今回は、パナソニックが2019年6月21日に発売した高演色LED電球の「LED電球プレミアX」を分解してみました。
なお、前回は40W相当を分解したので今回は60W相当(家電量販店モデル)となります。
パルックLED電球プレミアXは2024年8月現在、以下の16種類がラインアップされています。温白色は国内メーカー唯一となっています。
白熱電球40W相当
- LDA5L-D-G/S/Z4/F 電球色相当/2700K/4.9W/485lm/98.9lm/W
- LDA5WW-D-G/S/Z4/F 温白色相当/3500K/4.9W/485lm/98.9lm/W
- LDA4N-D-G/S/Z4/F 昼白色相当/5000K/4.4W/485lm/110.2lm/W
- LDA4D-D-G/S/Z4/F 昼光色相当/6500K/4.4W/485lm/110.2lm/W
白熱電球60W相当
- LDA7L-D-G/S/Z6/F 電球色相当/2700K/7.4W/810lm/109.4lm/W
- LDA7WW-D-G/S/Z6/F 温白色相当/3500K/7.4W/810lm/109.4lm/W
- LDA7N-D-G/S/Z6/F 昼白色相当/5000K/7.3W/810lm/110.9lm/W
- LDA7D-D-G/S/Z6/F 昼光色相当/6500K/7.3W/810lm/110.9lm/W
小型電球40W相当
- LDA5L-D-G-E17/S/Z4 電球色相当/2700K/5W/440lm/88lm/W
- LDA5WW-D-G-E17/S/Z4 温白色相当/3500K/5W/440lm/88lm/W
- LDA5N-D-G-E17/S/Z4 昼白色相当/5000K/4.7W/440lm/93.62lm/W
- LDA5D-D-G-E17/S/Z4 昼光色相当/6500K/W/440lm/93.62lm/W
小型電球60W相当
- LDA8L-D-G-E17/S/Z6 電球色相当/2700K/8.2W/760lm/92.68lm/W
- LDA8WW-D-G-E17/S/Z6 温白色相当/3500K/8.2W/760lm/92.68lm/W
- LDA8N-D-G-E17/S/Z6 昼白色相当/5000K/7.7W/760lm/98.7lm/W
- LDA8D-D-G-E17/S/Z6 昼光色相当/6500K/7.7W/760lm/98.7lm/W
外観
前回は電球色だったので橙色ベースでしたが、今回は昼白色なので緑色ベースの配色となっています。
凹んでいる部分には同じく「美しい彩りをあざやかに再現」と記載されています。
LED電球本体です。
表面にはPanasonicロゴと型番が、
裏面には仕様が印刷されています。
調光器付、非常用、水銀灯用器具では使用できません。
中国製です。((PS)EがMEなので恐らく自社工場製です)
口金にはロット番号が刻印されています。
前回とは違い一桁増えています。
20B26EJ
20=西暦の下2桁(2020年)
B=月(A:1月、B:2月、L:12月)
26=日
EJ=ロット記号
口金も前回と同じくしっかりしたものとなっています。
全長は98mm、外径は55mm、質量は77gとなっています。
約260度の全方向タイプで、大きなグローブを採用しているため下方向にも光が回っています。
リーベックスの節電エコタイマーに内蔵されている消費電力測定機能で測定してみました。
8Wなので箱に書かれている消費電力は正しいものと思われます。(誤差があるのと四捨五入されているため)
今回は以下の3種類で演色性能を比較してみました。
- 東芝 E-CORE LDA7N(Ra70)
- パナソニック パルックボールプレミア EFD15EN/10H(Ra84)
- パナソニック LED電球プレミアX LDA7N-D-G/S/Z6(Ra90)
ホワイトバランスは太陽光に固定しています。
やはりRa70では全体的に黄色っぽくなってしまっていますが、Ra90のプレミアXでは正確な色となっています。
中央のパルックボールプレミアはやや緑被りしているように見えます。
こちらは手で比較してみましたが、やはり同じような感じになっています。
なお、下は高白色コピー用紙となっています。
分解
ここからは分解です。
【注意】
分解や改造をした場合は5年保証が無効となります。
また、怪我をする可能性があるので真似をしないようお願いします。管理人は責任を負いません。
まずはグローブを外します。
隙間にマイナスドライバーを挿入し、少しずつ接着剤を剥がしていきます。
するとグローブが外れます。
LEDチップは24個実装されています。また、6直列×5並列となっています。(未実装含むと30個)
また、未実装のパターンが6つありますが、恐らく全光束が若干低い電球色や温白色だと実装されているものと思われます。
LED素子の拡大です。
中心に大きめのLEDチップが入っています。
LEDチップは前回と同じく、韓国 ソウル半導体製の「SunLike」シリーズのLED素子を青色LEDに変更したものが使用されているものと思われます。
グローブを外して光らせてみました。高演色タイプなので赤みがかった白となっています。
LED基板はアルミ製で、裏面には“22N02004D”と印字されています。
回路からの供給電圧は33.04V
LEDチップの電圧は5.5V
回路からの供給電流は194.2mA
となっています。
40W相当品と比べて明るさが上がっている分電流値が増えています。
よって、1チップあたり2素子入っており、2素子×6チップが4並列で48素子相当となります。
このLEDチップは1つで100lm程度出せる性能があるので、放熱などの関係で定格の35%程度で駆動しているようです。
グローブは放熱部とは接着剤と2つの爪で固定されています。
放熱部です。
外側は樹脂、内側にアルミ板が入ったものとなっています。
アルミ板が前回のものとは違って綺麗なものとなっています。
中央のピンでLED基板と電源基板を接続しています。
口金は半田付けされている部分を外し、マイナスドライバーを隙間に入れて外していきます。
放熱部はこのように、外側はPBT樹脂、内側はアルミダイカストでできています。
初期のものは全体がアルミダイカストボディーでしたが、発熱が少なくなったからか小さなものになっています。
放熱部を分解すると、このように樹脂部分とアルミ部分が別れます。
電源基板です。
上は回路表面、下は回路裏面(上下反転)となっています。
まずは表面の部品です
上は恐らくヒューズ抵抗(R1)で、10Ω(茶・黒・黒・金)が実装されています。
下はインダクタ(L1)0.75mHとノイズフィルタ(NF1)が実装されています。
電解コンデンサ(CD1・CD2)は2つ実装されており、
CD1は中国 AiSHi(Aihua Group)製のCD11GE 105℃(12000時間定格品?) 200V6.8μFが、
CD2は香港 SAMXON製のRZ(M) 115℃(定格時間不明) 100V10μFが実装されています。
なお、40W相当ではCD1が4.7μF、CD2は同じとなっているので容量が増強されています。
次に裏面の部品です
LEDドライバIC(U1)は、OZ2090MGN CL2NIP.1N 1942Bと刻印がされています。型番からして40W相当品と同一です。
2024/8/5追記:製造元はアメリカ O2Micro International Limited.です。仕様はホームページに記載がないため不明です。
ブリッジダイオード(DB)は、中国 YANGJIE TECHNOLOGY製のMBL10S(700V500mA定格品)が、
ファストリカバリーダイオード(FRD1・D1)はそれぞれ
DB1が中国 YANGJIE TECHNOLOGY製のES1J(600V1A定格品)が、
D1も同じく中国 YANGJIE TECHNOLOGY製のE1J(600V1A定格品)が
実装されています。
トランジスタ(Q1・Q2)はそれぞれ
Q1がBQ 36で2SC2412K NPN SOT-346 ROHM製かその互換品 50V150mA定格
Q2はANN 36で2SC4061K NPN SOT-346 ROHM製かその互換品 300V100mA定格
が実装されています。
上下反転していない回路裏面です。
R9とR10の値が40W相当だとR9=3R30(3.3Ω)とR10=5R60(5.6Ω)となっていますが、この60W相当だとR9=1R60(1.6Ω)とR10=6R80(6.8Ω)の組み合わせとなっています。
ここで電流値を設定しているものと思われます。
全て分解するとこのようになります。
基本的には40W相当と同一ですが、電解コンデンサやチップ抵抗の値、LEDチップの数が異なっています。
また、LED基板は40W相当品と同じく33.5V/500mA程度流せば光るため、昇圧回路と組み合わせることにより様々な用途に使えると思われます。
最後に、前回のものが半壊れになったことで2素子実装されていることが分かりやすくなった画像を掲載します。
左右に素子が別れていることが分かります。
今回はLED電球プレミアXの60W相当品を分解してみましたが、基本設計は外見同様ほぼ同じであることが分かります。
かつては40W相当と60W相当で寸法が違うことが多かったですが、技術の進歩や発熱量の低下で同一寸法にできるようになったようです。
今後は100W相当(LEDチップの性能的に余裕で可能)やE17タイプが発売されることを望みます。
今回は以上です。