今回は、ケンウッドが2011年10月に発売したデジタルオーディオプレーヤーの“MG-G708”を分解してみました。
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【注意】
分解したデジタルオーディオプレーヤーは元に戻すことが難しいです。分解する場合は不要なもので行うようお願いします。
また、リチウムイオン電池を内蔵しているので取り扱いを誤ると発火や爆発することがあります。
外観
前面には2インチのTFT液晶と各種操作ボタンが付いています。
〇にlは電源ボタン、上下ボタンは曲送り/戻し、左右ボタンは項目の送り/戻し、中央ボタンは再生/一時停止となっています。
インジケーターLEDはKENWOODロゴのWの上部の▲の色と形になっています。
左右ボタンが曲選択ではないため操作性がやや独特なものとなっています。
背面には順に
KENWOODロゴ
MEDIAkegのロゴ
DIGITAL AUDIO PLAYER
MG-G708
Li-ionバッテリーロゴ
VCCIロゴ=一般財団法人VCCI協会
MADE IN CHINA
JVC KENWOOD Corporation
(製造番号8桁).11年製
と記載されています。
本体左側にはmicroSDカードスロットとリセットボタンがあります。
本体右側には音量ボタンとホールドスイッチがあります。
ホールドスイッチをオンにすると全てのボタンが操作できなくなり、画面の右下に鍵マークが表示されます。
音量を変更すると画面の右側に以下のような表示が出ます。
なお、画面の解像度が低いため文字がかなり見にくいです。
本体下部には3.5mmステレオヘッドホンジャックとminiUSB端子があります。(microUSBやTypeCではありません)
分解
ここからは分解に入ります。
まずは左右の下部にあるカバーを外し、その中にあるネジをプラスドライバーで回して外します。
次に隙間に硬いカードなどを入れ、ツメを折らないように注意しつつ外していきます。
外れるとこのように2つに別れます。
左上の部品はリチウムイオンポリマー電池です。
※曲げたり衝撃を与えたりすると発火・爆発します!
その下にはノイズ防止の銅箔テープが貼られています。
右上は液晶画面、右下はメイン基板となっています。
リチウムイオンポリマー電池は、中国 BAK製の
433043P 1G30 1.92Wh
3.7V 520mAh
のものが使用されています。
リチウムイオンポリマー電池は強力な両面テープで固定されているので慎重に剥がしていきます。
液晶画面とメイン基板です。
中央付近の大きな部品はNANDメモリーです。
詳細を以下に記載しています
U1はCPUで、韓国 Telechips製の
TCC7921
01BX-IIR-AG
WN2X18
1101
が実装されています。
このCPUはシングルコアが2つ内蔵されていてデュアルコアとして使用できるようになっています。
U2はNAND Flash Memoryで、韓国 サムスン電子製の
K9HCG08U1D(MLC NAND 8GB)
PCB0
FLC487AX
が実装されています。
U3は6ピンのICですが詳細は不明です。
AAAAYと刻印されています。
U4はDAC-ICで、スコットランド Wolfson Microelectronics製のWM8912G
0BAAUIK
が実装されています。
U10はトランジスタだと思われます。
刻印はBEYMです。
U6は5ピンのICですが詳細は不明です。
3A2EHと刻印されています。
なお、バッテリー端子の側にあるので充電制御ICの可能性が高いです。
その横のトランジスタ?にはそれぞれ
N2Z5とN5U3と刻印されています。
U7は16ピンのICですが、周囲の部品からしてアンプICだと思われます。
刻印は
2NV
AP
となっています。
U8は10ピンのICですが詳細は不明です。
K9BH
741
が実装されています。
U9は24ピンのICですが詳細は不明です。
SIL
F557
A17C2
1103+
が実装されています。
メイン基板を外すと躯体が現れます。
下部の黒い部分は操作ボタンの裏側です。
メイン基板の操作ボタンです。金メッキがされている表面実装型のボタンが6つあります。
下部にはヘッドホンジャックとminiUSBジャックがあります。
液晶画面とメイン基板を接続しているフレキシブルケーブルです。
KGM265PG 110812-2 UYMAKL12
Q00023C18002 05 10
が使用されています。
液晶には台湾 GIANTPLUS製(凸版印刷グループ)の
KFM265PG1-1A/26(2インチTFT)
が使用されています。
フレームには
H-KLM265HG1-1A-110511-R-E2
の刻印があります。
液晶画面本体と基板表面です。
液晶画面本体と基板裏面です。
基板にはチップコンデンサやチップ抵抗が数個実装されています。
液晶画面の偏光板を剥がしてみました。
反対側が透けて見えています。
順に
液晶画面
基板
LEDバックライト
偏光フィルム×3
フレーム
となっています。
LEDバックライトは2.8V程度流すと明るく光ります。
全ての部品を撮影してみました。
こうしてみると部品がかなり少ないことが分かります。
部品がDACを除き中国・台湾・韓国製のものしか使用されていないことから、恐らく設計のみを行いあとは中国のメーカーに委託して生産されたものと思われます。
音質は当時の水準では良い方でしたが、現行のハイレゾ対応プレーヤーと比べると明らかに劣っています。
また、ケンウッドはこのプレーヤーをもってデジタルオーディオプレーヤーから撤退してしまいました。
今回は以上です。