今回は、玄人志向から発売されていたATX電源の「KRPW-GP650W/90+」を分解してみました。
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【注意】
分解する際、内部には高圧電源が印加された電解コンデンサがあります。放電させずに触れた場合感電します。管理人は真似をして事故やケガが生じた場合一切の責任を負いません。
また、分解した電源はコンセントに差し込んではいけません。感電や火災の原因になります。
まず、公式サイトに以下の記載がありました。本当なのか分解で検証してみました。結果は後程とします。
105℃日本メーカー製アルミ電解コンデンサー&高信頼固体電解コンデンサー搭載
耐熱105℃の日本メーカー製アルミ電解コンデンサーに加え、固体電解コンデンサーを採用。より電源の安定性が向上しました。
外観
まずは側面のラベルです
玄人志向 KRPW-GP650W/90+ 650Wと一番上には記載されていて、その下には出力一覧表が記載されています。
80PLUS GOLD認証を取得しています。
製造国は中華人民共和国となっています。
販売元はCFD販売株式会社です。
なお、製造はEnhance社がおこなっているといわれています。
一部のコードを除いてプラグイン式となっています。
底面のファンから送られた風は背面のスリットから抜けます。
CPU電源とマザーボード電源は必須なので通常のコード式となっています。
ファンは大型のものが使われています。
ここからは分解です
分解するにはファン横にあるネジと、コネクタ横のネジをプラスドライバーで外していきます。
ネジを外して引っ張ると2つに分かれます。
冷却ファンは中国 Yonglinxing Electronics製のDCブラシレスファンです。
電圧は直流12V、消費電力は3Wとなっています。
6Vの乾電池を接続してみました。しっかり回転しています。
メイン基板の表面です。ここにほとんどの部品は実装されています。
ファン電源は基板左下のコネクタから供給されています。
ケース部はスチールに黒色塗装したものが使用されています。
スイッチは、台湾 Canal Components社製の10A125V/6A250V定格のものが使用されています。
電源コードのソケット部にはノイズフィルターやバリスタ、ヒューズが実装されています。
また、メタライズドフィルムコンデンサが2つ実装されています。
全ての基板を外すとこのようになります。透明のプラ板はショート防止のためのものと思われます。
メイン基板には半導体素子の冷却のために大きなヒートシンクが2つ搭載されています。
コネクタ基板の表面です。一部使われていない部分があります。
コネクタ基板の裏面にはチップコンデンサが実装できる箇所がありますが何も実装されていません。
コネクタ基板表面には、サン電子工業製の220μF 16V耐圧品が2つとRubycon製の100μF 10V耐圧品が2つ実装されています。
メイン基板裏面はこのようになっており、チップ部品が実装されています。
台湾 ChampionMicro製のCM6901X(SLS Controller PWM-IC)が中央付近に実装されています。
メイン基板左側には、フィルムコンデンサとトロイダルコア、そして中央に大きなパナソニック製の電解コンデンサが実装されています。
パナソニックのHDシリーズで、105℃2000時間定格品の
560μF 450V耐圧品が使用されています。
メイン基板上部です。トランスと固体コンデンサ、電解コンデンサが実装されています。
固体コンデンサは韓国 Enesol製の470μF 16V耐圧品が実装されています。左側の電解コンデンサは日本ケミコン製のKZEシリーズ(2000時間定格品)です。容量は両方とも2200μF、16V耐圧品です。
メイン基板右側には出力コネクタに繋がる配線と3.3VDC-DCコンバータ、電解コンデンサ、IC、リレーが実装されています。
電解コンデンサは順に、Rubycon ZLHシリーズ(6000時間定格品)1500μF 10V耐圧、日本ケミコン LXZシリーズ(2000時間定格品) 1500μF 6.3V耐圧
Rubycon YXGシリーズ(3000時間定格品)3300μF 10V耐圧、日本ケミコン KZEシリーズ(2000時間定格品)2200μF 16V耐圧となっています。
なお、KZEシリーズは()内の番号が(7)となっているため日本製ではありません。日本製は(2)か(3)のようです。
詳しくはこちら
リレーはアメリカ SONG CHUAN製の307H-1AH-F-C 12V DC 277V AC 8A 250V ACのものが使用されています。
このICは型番で検索しても詳細が見つかりませんでした。
刻印は、PS22S P132S1351Fです。
2012年12月24日に設計されたようです。
メイン基板下部です。トロイダルコア、温度センサ、メタライズドフィルムコンデンサが実装されています。
温度センサだと思われますが詳細不明です。
刻印はTTC 303となっています。
ヒートシンクの間にもトロイダルコアや電解コンデンサ(全てRubycon製)などが実装されています。
3.3V DC-DCコンバータは別基板となっていて、下部には固体コンデンサが3つ実装されています。
ヒートシンクを外すと、パワートランジスタとショットキーバリアダイオードが現れました。
ドイツ Infineon Technologies製 IPP50R140CP パワートランジスタ×4
アメリカ CREE製 C3D10060G ショットキーバリアダイオード×1
形状からしてブリッジダイオードだと思われますが詳細不明です。刻印はCBU15L08です。
取り外したヒートシンクです。アルミダイカスト製のようです。
制御基板だと思われるものが別に取り付けられています。
こちらはパワーMOSFETで、ドイツ Infineon Technologies製のIPP023N04Nが4つ実装されています。
こちらはアメリカ SIRECT ELECTRONIC製のAC-DCコンバータ SBL10SL60FCTH 10A 60V定格品です。
こちらはスイス STMicroelectronics製の三端子レギュレータ L7912CV 12V 1.5A出力品です。
このICも詳細不明です。刻印はAS062H SK313 N26APとなっています。
結論
メーカーの製品情報ページに「日本メーカー製アルミ電解コンデンサー」の記載がありましたが、あくまでも”日本製”ではなく“日本メーカー製”なので間違いではありませんでした。
ただし3つを除き日本製でした。
固体コンデンサについては製造国の記載が無いことからも分かる通り海外メーカー製のものでした。
この電源は5年ほど使用したものなので、耐久性はあるものと思われます。ATX電源は安物を使うと他の部品を巻き込んで壊れることがあるのでそこそこの品質のものを使うこと(概ね1万円以上)を強く推奨します。
今回は以上です。