今回は、台湾 AcBel Polytech Inc.社製のTFX電源「PCA023」を分解しました。
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本体
TFX電源は、ATX電源に比べて縦長な形状になっています。
電源コードです。台湾 I-SHENG ELECTRIC WIRE&CABLE CO.,LTD.社製の12A125V定格品が使用されています。
<PS>E認証に適合しています。
上部の少し出っ張っている部分に冷却ファンが搭載されています。
上部に貼られている仕様が書かれたシールです。
入力電源が
AC100-240V 50/60Hz 6A
出力電源が
+3.3V 19A
+5.0V 15A
合計で110W以内
+12.0V1 8A
+12.0V2 16A
合計で250W以内
-12.0V 0.3A
+5.0Vsb 2.0A
最大300W
このパソコンはCPU内蔵グラフィックなので300Wの電源でも十分な供給能力があります。
右側です。中央付近の穴はPCケースに固定するためのものです。
底面です。安い電源に多い亜鉛メッキ鋼板がそのまま使用されているものになります。
ある程度以上の電源になると、黒や白、銀色といった塗装がされているものが多くなります。
左側です。こちら側にも固定用の穴が開いています。
奥側です。電源ケーブルを接続するための端子があります。なお、電源スイッチはありません。
TFX電源では、寸法の関係上プラグイン構造にすることが難しいので基本的に直出し配線になっています。
明らかに不要なケーブルもありますが結束バンドなどで束ねるしかありません。
分解
ここからは分解に入ります。
【注意】
内部には高圧電源が掛かっている部分があります。そのため、コンセントから抜いた上でしばらく経ってから分解する必要があります。
また、分解したことによって発生した事故や怪我について管理人は責任を負いません。
まずは、上部にあるネジを外していきます。
分解防止シールの下にもネジがあるので忘れずに外します。
剥がすと保証は無効になります。
プラスネジは全部で5本あります。
ネジを外すと2面が外れます。
冷却ファンのケーブルを上に引っ張って外します。
このケーブルは2本なので回転制御は行われていない(常にフル回転)ようです。
冷却ファンをケースから外します。
網の上下左右にある4本のネジを外すと取ることができます。
電源基板をケースから取り出します。こちらもネジで止まっているので外します。
電源コネクタの裏側にはコンデンサと思われるものが数個付いています。
電源基板が外れたのでかなりスッキリしました。
アース端子とケースが接続されています。そのため、極力アース端子をコンセントのアース端子に接続する必要があります。
電源コネクタの裏側に付いていたメタライズド・ポリプロピレン・フィルム・コンデンサです。
台湾 CARLI ELECTRONICS CO., LTD社製の0.47μF AC275V定格品が使用されています。
また、セラミックコンデンサ 0.001μF 250V耐圧品も2つ実装されていました。
電源基板とケースです。間にはショート防止のため透明のプラスチック板が入っていました。
電源基板の表面です。インダクタや電解コンデンサ、ヒートシンクが目立ちます。
電源基板裏面です。チップ部品が実装されています。
裏側のICから紹介します。
スイス STMicroelectronics社製 LM339 電圧コンパレーターが実装されています。
台湾 Anpec Electronics Corporation社製のICですが、型番が解読不能です。
台湾 UBIQ Semiconductor社製のQM3004D N-Ch 30V Fast Switching MOSFETが実装されています。
ここからは表面の部品です。
恐らく温度ヒューズだと思われる部品です。ヒートシンクに隣接して設置されていました。
別基板です。シールが貼られたICや電解コンデンサ、トランジスタ、ダイオードが実装されています。
裏側にもチップ部品が実装されていました。
トランジスタは、スイス STMicroelectronics社製の2N2907A PNP 60V 600mA定格品が実装されています。
ICは、台湾 Champion Microelectronic Corp.社製の低始動電流PFC/PWMコンボコントローラー CM6800T+X(恐らく専用設計品)が実装されています。
台湾 Sitronix Technologoy Corp.社製のST9S424A-DOGが実装されていますが、詳細不明です。
スイス STMicroelectronics社製のL7912CV リニア電圧レギュレーター -12V 1.5A出力品が実装されています。
仕様からしてマイナス電源はこのICで生成しているようです。
トランジスタは、韓国 KEC社製 PNP -160V 500mA定格品が実装されています。
スイス STMicroelectronics社製 ショットキーバリアダイオード STPS30L45CT 30A(15A×2) 45V定格品が実装されています。
中国 BCD Semiconductor Manufacturing Limited社製の3端子シャントレギュレータ AZ431が実装されています。
アメリカ Power Integrations社製のAC/DCコンバーター 12V 18W出力 AC85-265V入力 TNY277PNが実装されています。
ダイオードにて全波整流を行った後、このICでAC-DC変換を行っているようです。
東芝製 電界効果トランジスタ N-Ch MOS形 500V 12A定格品 TK12A50Dが2つ実装されています。
電界効果トランジスタ(FET)は、MOSFETとは異なるものになります。
ここからは電解コンデンサの使用されているメーカーを紹介します。
台湾 Su’scon 2200μF 10V耐圧品
台湾 Chinsan Electronic社製(Eliteブランド) 270μF 16V耐圧品 高分子コンデンサ
台湾 CAPXON ELECTRONIC社製(CapXonブランド)の180μF 420V耐圧品
上部には製造年月日と思われる数字が刻印されています。
191003=2019年10月3日製造品
中国 Aihua Group社製(AiSHiブランド) 47μF 25V耐圧品
台湾 Chinsan Electronic社製(Eliteブランド) 電解コンデンサ
トランスです。
API R 25I11-0001I F2 HI-POT CIS.04 1935 ABと記載されていますが詳細不明です。
冷却ファン
おまけで、冷却ファンを分解してみました。
中国 Tong Hua社製のHA8025H12B-Z DC12V 0.35A定格品が使用されています。
6Vの乾電池を接続すると回りだしました。
中央のシールを剥がすと軸が見えます。
羽を外してみました。DCブラシレスモーターを搭載しています。
羽の内側には磁石が取り付けられています。
そのため、金属をあてるとくっつきます。
4か所にコイルが巻かれており、順次電流を流すことで回転するようです。構造上ICでの制御が必須になります。
今回は安価な電源を分解しましたが、玄人志向のそれなりに高い電源に比べて部品が多い印象を受けました。
安い部品で製造すると部品が多くなってしまうように思います。
また、安価な電源は故障時にマザーボードなどの部品を巻き添えで壊すことがあるのであまりオススメはできません。
できるだけ80Plus Gold以上の認証に適合した電源を選ぶことをオススメします。
今回は以上です。