今回は、非可逆圧縮音源である「MP3・AAC・Opus」の音質を比較検証してみました。
【検証方法】
CD音源を以下の方法で各形式に変換し、それを.wav形式に再変換して「WaveSpectra」に取り込みカットオフ周波数を調べている。
- MP3:VEGAS Pro13のMP3コーデックを使用してエンコード
- AAC:XMedia Recodeの“Fraunhofer FDK AAC”コーデックを使用してエンコード
- Opus:XMedia Recodeの“Opusコーデック”を使用してエンコード
※MP3は正規のエンコーダーを使用したため、異なるソフトウェアでエンコードしています。また、全てCBR(固定ビットレート)でエンコードしています。
最初に、CD音源の波形を掲載します。
CD音源はPCM 16bit/44.1kHz(サンプリング周波数)なので、カットオフ周波数はサンプリング周波数の2分の1である22.05kHzとなっている。なお、48kHzサンプリングなら24kHzカットとなる。
この画像を参考に以下の圧縮音源と比較してみてください。
MP3
MP3は、1990年代に音声の容量を圧縮するためにできた形式で、正式名称は「MPEG-1 Audio Layer-3」という。対応機器の多さゆえに一番普及している形式でもある。音質はAACやOpusと比べると悪いが、大体の人は192Kbps以上あれば納得のいく音質になると思われる。
64Kbps=10.0kHzカット
96Kbps=12.9kHzカット
128Kbps=15.5kHzカット
160Kbps=16.0kHzカット
192Kbps=20.3kHzカット
256Kbps・320Kbps=21.0kHzカット
MP3(VEGAS Pro13)
ビットレート | カットオフ周波数 |
64Kbps | 10.0kHz |
96Kbps | 12.9kHz |
128Kbps | 15.5kHz |
160Kbps | 16.0kHz |
192Kbps | 20.3kHz |
256Kbps以上 | 21.0kHz |
AAC
AACは、1997年にISO規格にて規格化された音声圧縮方式である。正式名称は「Advanced Audio Coding」といい、AppleがiPodで急速に普及させた形式でもある。MP3よりも圧縮効率が良く、同じビットレートではより高音質になるとされている。
64Kbps=13.1kHzカット
96Kbps=14.2kHzカット
128Kbps=15.4kHzカット
160Kbps=16.1kHzカット
192Kbps以上=17.0kHzカット
AAC-LC(Fraunhofer FDK AAC)
ビットレート | カットオフ周波数 |
64Kbps | 13.1kHz |
96Kbps | 14.2kHz |
128Kbps | 15.4kHz |
160Kbps | 16.1kHz |
192Kbps以上 | 17.0kHz |
※Apple AACはもう少し高い周波数が出ることを確認しています。
Opus
Opusは、2012年9月11日に登場した最後発の音声圧縮コーデックである。元々はVoIP通話向きに作られたコーデックのため、低遅延なのが特徴となっている。また、MP3やAACよりも全体的に高音質である。
YouTubeでも採用されており、対応動画は高音質で視聴することができます。詳しくは下記の記事をご覧ください。
16Kbps=7.4kHzカット
32Kbps=20.0kHzカット
64Kbps=20.0kHzカット
96Kbps=20.0kHzカット
128Kbps以上=20.0kHzカット
参考:448Kbps=20.0kHzカット
Opus(libopus)
ビットレート | カットオフ周波数 |
16Kbps | 7.4kHz |
32Kbps | 20.0kHz |
64Kbps | 20.0kHz |
96Kbps | 20.0kHz |
128Kbps以上 | 20.0kHz |
(参考)448Kbps | 20.0kHz |
ビットレート別にカットオフ周波数をまとめるとこのようになります。
ビットレート | カットオフ周波数(左の方が高い) |
64Kbps | Opus>>AAC-LC>MP3 |
96Kbps | Opus>>AAC-LC>MP3 |
128Kbps | Opus>>AAC-LC=MP3 |
160Kbps | Opus>>AAC-LC=MP3 |
192Kbps以上 | MP3>Opus>AAC-LC |
64Kbpsや96Kbpsの低ビットレートでは、Opus→AAC-LC→MP3となっていますが、128Kbpsや160Kbpsは、Opus→AAC-LCとMP3がほぼ同じとなっており、192Kbps以上の高ビットレートではMP3→Opus→AAC-LCとなっています。
これは、AACは低ビットレートを得意としており、MP3は高ビットレートを得意としているために起こっています。Opusは最も圧縮効率に優れているものの、20kHzカットとなっており192Kbps以上ではMP3に逆転されています。
よって、なるべく高音質で聞きたいならMP3、容量を抑えつつ高音質にしたいならAAC、対応機器がある場合はOpusを選択すると良いです。
今回は以上になります。